校長挨拶
学校案内校長挨拶
高等専門学校(高専)は、中学校の卒業生を「時代の要請に応える実践的技術者」に育てるために、5年一貫教育を行っている「高等教育機関」です。高校生に相当する年齢から高専生は「学生」とよばれ、大学生同様自ら学ぶ姿勢が求められます。沼津工業高等専門学校(沼津高専)は昭和37年に日本で最初の国立高専の一つとして開設され、平成8年には本科卒業後2年間高度な専門教育を行うために専攻科が設置されました。所定の条件を満たした専攻科修了生には、大学改革支援・学位授与機構から「学士(工学)」の学位が授与されます。沼津高専は、これまでに本科・専攻科あわせて1万人を超える卒業生を社会に送り出し、産業界から特に高い評価を得ています。卒業生は、日本だけでなく世界を舞台に、優れた技術者、科学者として活躍しています。
沼津高専では本科1年次から専門科目の勉強が始まります。大学受験対応に時間を取られることなく、入学直後から5年間専門の学習に専念できますので、本科卒業までに大学の工学部卒業生を凌駕する専門知識や技術を習得することができます。また、本校は、外国語や一般教育にも力を入れており、日本の科学・技術を先導できる教養ある技術者を養成するための教育システムを確立しています。高専の教育は通常の授業にとどまりません。たとえば、国内外の多くの大学・研究所と交流協定を締結し、インターンシップや共同研究を通じて視野を広げる機会を提供しています。高専と言えば、ロボコンが有名です。高専コンテストには、ディープラーニングコンテスト、パテントコンテスト、プログラムコンテスト、英語プレゼンテーションコンテスト等多くのものがあります。本校はいずれのコンテストにも積極的に参加し、さらにコンテストを通じた起業家教育を進めています。これらの取り組みを通じて、学生の無限の可能性を引き出すことができると考えています。
ほぼ半数の本科卒業生が就職し、その大部分は研究・開発に従事します。様々な企業から多くの求人をいただいています。残りの半数は、本校の専攻科に進学したり、大学に編入したりして、より高度な知識を身につけるために勉学や研究を続けます。その後大学院に進学して専門性をさらに追究し、研究者を目指すこともできます。このように、社会に出るまでのキャリアパスが極めて多様であることも高専の特徴です。
静岡県は、製造品出荷額が全国トップクラスです。沼津高専のある静岡県東部には、大手企業の生産拠点や研究所、多様な中小製造業の本拠地が置かれています。企業や地元自治体からは種々のご支援、ご協力をいただいています。本校は、教育や人材育成、共同研究を通じて地域社会や産業に貢献しています。たとえば、静岡県が推進するファルマバレー計画の中で、医用機器開発に係る中核技術者を養成する社会人講座「富士山麓医用機器開発エンジニア養成プログラム(通称F-met)」を主催し、医薬品・医用機器産業が盛んな静岡県東部地域の振興に積極的な役割を果たしています。これらの地域貢献を継続し、さらに発展させたいと考えております。
沼津高専は、日本の工業の中核を担う人材を輩出し続けると共に、静岡県東部における「科学と技術の知の拠点」としての役割を果たして参ります。今後共よろしくご支援をお願い致します。
学校長 岡田 哲男
略歴
- 昭和56年 3月
- 京都大学 理学部 卒業
- 昭和58年 3月
- 京都大学 大学院理学研究科 修士課程修了
- 昭和61年 3月
- 京都大学 大学院理学研究科 博士課程修了(理学博士)
- 昭和61年 4月
- 静岡大学 教養部 助手
- 平成 元年 4月
- 静岡大学 教養部 助教授
- 平成 7年10月
- 東京工業大学 理学部 助教授
- 平成12年 5月
- 東京工業大学 大学院理工学研究科 教授
- 平成27年 4月
- 東京工業大学 大学院理工学研究科 理学系長、
- 理学部長(平成30年3月まで)
- 平成28年4月
- 東京工業大学 理学院 教授、
- 理学院長(平成30年3月まで)
- 平成30年4月
- 東京工業大学 副学長(安全・コンプライアンス担当)
- 令和 3年 2月
- 東京工業大学 副学長(総合安全・コンプライアンス担当)
- 令和 4年 4月
- 東京工業大学名誉教授
- 令和 4年 4月
- 沼津工業高等専門学校長
受賞
- 1997年International Ion Chromatography Award
- 2013年日本イオン交換学会賞
- 2015年日本学術振興会科学研究費第一段審査委員表彰
ほか
学会活動
- 日本分析化学会会長
- 日本化学会分析化学部門主査
- 日本イオン交換学会常任理事
などを歴任