沼津高専だより126号
学校案内
学校長より
シロクマバス
学校長 岡田 哲男

今夏は猛暑日の連続で、40℃近い気温も見慣れたものになっています。「大気中の二酸化炭素濃度は300 ppm」とかつて高校の教科書に書かれていました。近年は400 ppmを越えているらしいので、50年で4割近く高くなりました。この値だけで語れるほど地球温暖化の機構は単純ではありませんが、二酸化炭素濃度の上昇と無関係ではないでしょう。
私が学生時代を過ごした1980年頃の京都、エアコン付きの市バスには「シロクマ」マークが付いていました。エアコンなしのバスが来ると「クロクマだ」とがっかりしたものです。クロクマに耐えられなくなってシロクマの快適さを求め続けた結果、今の猛暑があるとすると、朝から30℃以上を示す温度計を見てはエアコンのスイッチを入れることに矛盾を感じます。
地球温暖化に対してこれまで有効な手を打てていないのは大人世代の責任です。とは言え、学生の皆さんには自分たちの未来のためにできることを考え続けて欲しいと思います。
新入生から
学びやすさと学びにくさ
機械工学科1年 金田 透弥
私は「高専」という学校で学ぶことのできるさまざまな専門性の高い学問や、そこで身に付く知識・技術に惹かれ、この学校に来ました。そんな私がこの学校に来て感じたのは、「学びやすさ」と「学びにくさ」という、一見相反する2つのことでした。
沼津高専には、学びを深めるための環境が整っています。気軽に質問できる先生方や学び教えあえる同級生の存在、専門書が並ぶ図書館、自由に利用できる自習スペースなどです。しかし、それらの利点を享受できる反面、この環境をどう生かすのかは自分次第であり、これまで以上に自分自身で為していくことに懸かっているといっても過言ではないと思っています。
そのため、これからの五年間で技術者として活躍していく為の土台を積み上げ、社会貢献できるように成っていきたいと思います。
高専での学習
電気電子工学科1年 小川 明日香

私たち一年生が入学してから早半年が経過しました。今回は私が特に感じた中学校との違いである学習面とそれに伴って必要になる力について紹介したいと思います。
中学校と変わった点は大きく三つあります。一つ目は授業時間です。中学校は50分授業の学校がほとんどですが、高専は約二倍の90分になります。二つ目は授業形式です。グループでの話し合いや発表などをする機会が多くあった中学校に対して、高専では先生の一方通行の講義形式となります。三つ目は授業の進み方や、難易度です。90分授業になる分、一つの授業で習う量が増えます。また、特に数学や専門科目などでは初めて覚える内容がとても多く、内容も難しくなっていきます。
以上の三点から、私は、高専に入ると中学時代以上必要になる力は集中力・自主性だと感じました。半期過ごして慣れてきた部分もありますが、足りない部分もまだまだ多いです。後期ではそこを補ってより一層集中力や自主性を磨いていきたいです。
前期を振り返って
電子制御工学科1年 吉田 武尊

僕らD科は誰1人として留年しないことを目標に頑張っています。
イベントでは一致団結して体育祭のドッジボールで準優勝したことが僕にとってとてもいい思い出です。他のクラスは15人などの少数精鋭で大会に出た中、僕たちはクラス全員で大会に出てまで行けたことが嬉しかったです 。休み時間はみんな特定の人と遊んだりしないことが今年のD1のとてもいいところです。
みんなで仲良く遊んだり、喋ったり、小テストの勉強を必死にしてたりするときに高専の青春を感じられます。高専は普通校と違って恋愛も少ないし、僕らが思ってたような青春は送れないです。僕は今でも、沼津は不便だし、変な人がいたり、普通高のインスタを見たりすると寂しくなったりして高専なんかくるんじゃなかったと思う時もあります。
でも、今毎日ふざけあえるクラスメイトや友達がいることが幸せです。もし、これからもこのメンバーで卒業まで一緒にいれたら嬉しいです。
挑戦と成長
制御情報工学科1年 伊豆川 湊斗

入学してから早くも半年が経ち、充実した学校生活を送っています。10月にはコンテスト同好会の部長に就任し、新たな責任を持つことになりました。これからは、メンバーと協力しながら同好会の活動をさらに盛り上げていきます。特に、デザコンへの参加が目前に迫っており、現在、作品の制作に携わりながら、チーム全員で協力してアイデアを形にしています。最高の結果を目指して、試行錯誤を重ねながら全力で取り組んでいます。この半年間で、技術や知識だけでなく、チームワークやリーダーシップの重要性も学びました。これからはその経験を活かして、メンバー全員が楽しく成果を出せる環境を作っていきたいです。新しい挑戦を恐れず、デザコンでも成功を掴み、成長を実感できる高専生活を送りたいと思っています。
高専で学ぶ
物質工学科1年 青木 時季子

私は、高専という環境を最大限生かした五年間を過ごしていきたいと考えています。
その第一歩として私は、日々の勉強からこのことを意識していきたいと考えています。深い知識を持つ先生、同じ志を持つ同級生や先輩。挙げればきりが無い程に、自分の学びや成長を支える存在・環境が高専にはあるとこれまでの生活から強く感じています。日々の予習や復習などから、周りの人と教え合い、支え合いながら、一つずつ自分の力にしていきたいと思います。
また、日々の生活の中で挑戦することも大切にしていきたいと考えています。私はこの夏、高専を通じて初めて海外に行く体験をしました。この体験では、普段あまり触れることができない異文化との交流や、他学科、他学年の先輩方との交流をすることができました。一つの挑戦が、私に多くの学びと成長を与えてくれたと感じています。
私は、この五年間で得るものを自分の武器にしていきたいと考えています。だからこそ、今挙げた二つの抱負を胸に日々を過ごしていきたいと思います。
沼津高専での留学生活
電気電子工学科3年 ソフィア イシャニ セルウィン

私の名前はソフィアです。今年四月に沼津高専に入学して留学生活を始めました。
初日は登録用紙に名前を間違えて書くほど緊張していましたが、先生方が優しいおかげで不安もなくなって、落ち着きました。授業は多様な方法で進められるので、毎日興味深く楽しんでいます。同級生もフレンドリーで、チューターの悠華ちゃんと小梅ちゃんには勉強をいつも助けてもらって感謝しています。
沼津高専には有益な本がそろった図書館や研究室や大きな体育館などの学生にとって大事なところはたくさんあります。そして、高専から富士山が見えるのも気に入っています。寮生活も快適です。栄養豊富な料理が提供されて、近くにはコンビニや門池公園という美しい湖の公園があります。寮の先生も、寮生を大事にしてくれています。
沼津高専で学びながら成長していると感じています。これからも、毎週の実験や高専祭などの楽しいことをもっと経験できることを楽しみにしています。
沼津高専での冒険
電子制御工学科3年 サンタワン ドゥアントン(テテー)

沼津高専に入学して、新しい環境の中で様々な経験を得ました。日本に来る前は、友達とうまくやっていけるかずっと心配していましたが、同級生の支えで、授業の内容も理解できて、学校の部活も楽しむことができました。留学生として、先生や友達との協力がなければ、楽しい学校生活は送れなかったでしょう。更に、沼津は豊富な海鮮料理があり、富士山と近いので、夏休みの間に旅行するのにすごく良い場所だと思います。良いことが待っていると信じている私はこれからも皆さんと一緒にその冒険を楽しみにしています。
日本の技術を追い求めて: インドネシアから沼津へ
制御情報工学科3年 ダヴィナ アンジェリカ

初めまして。アンジェと申します。インドネシアからやってきた留学生で、今は制御情報工学科の3年生です。この短い文章で、自分の経験について語りたいと思います。
子供の頃からモンスターハンターや牧場物語みたいなゲームが大好きでした。ゲームのソフトウェアだけでなく、ゲーム機にもどのような構成で造られたのかを、気になって仕方がなかった結果、日本の技術に興味が湧きました。その理由で、沼津高専の制御情報工学科に入ったということです。
実は入学したとき、日本での生活は初めてではありませんでした。日本語と文化を学ぶために、1年間を東京で過ごしましたが、沼津に引っ越して、自分が慣れるまでにはもう少し時間が必要みたいです。特に、授業が第4言語で行われるので、楽とは言えないです。でも、先生方やクラスメート、先輩たちがいつも助けてくれますので、これからも頑張って、楽しい高専生生活をおくるつもりです。
人生の新しい旅を始めました
物質工学科3年 タン ワン ニ

マレーシアからのワンニです。留学生として沼津高専で物質工学を専門に勉強しています。高専での生活に対して自分自身の思うことを述べたいと思います。
マレーシアで一年間半ぐらい日本語を勉強しましたが、初めて日本に着いたばかりの時、いろいろまだ慣れていないから、すごく不安でした。でも、高専に入って良かったと思います。高専で勉強したら、日本の生活にだんだん慣れてきました。寮生ですから、授業以外の時間を友達と一緒に過せるし、違う学科の友達もできました。素敵な友達に出会って、祖国にいなくても、全然寂しさを感じていませんでした。
一方で、言語の壁があるから、授業がわからない時もあります。幸いにも、チューターがいるおかげで、いろいろ教えてくれました。すごくありがたいです。自分の勉強が忙しいのに、私の勉強もいつも手伝ってくれました。学校の先生も優しくて、質問があるとき、聞いたら教えてくれるから、心から感謝しています。
寮生会活動について(寮長)
生まれ変わる寮
寮長 小島 壮大

今年度から寮生全員がコロナ禍以降に入寮した寮生となりました。そして様々な制限も次第になくなり、活気ある寮を取り戻すというのが昨今の課題となっていました。
そのような背景の中、今年度は役員の再編をしたり、企画部署と連携して様々な企画を実施したりしています。5月の寮祭では一般の方の入場こそ叶いませんでしたが、保護者の方々や寮外生をお招きしたところ、様々な方から好評をいただきました。寮生や関係教職員の皆様方、ならびに保護者の方々にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
また、優峰寮の改修が6月に完了し後期から入寮が始まります。3年前には秀峰寮の新築もあり、様子も徐々に変わってきています。コロナ禍の影響もあり生まれ変わりつつある寮。役員一同、寮生が安全かつ健康に過ごしやすく、さらに楽しい寮づくり、健全な寮生会運営に努めてまいります。今年度も残り半分ほどとなりましたが、よろしくお願いいたします。
部活動成績一覧






東海地区国立高等専門学校体育大会
第62回東海地区国立高等専門学校体育大会の結果について、各高専のウェブサイトよりご覧ください。
全国高等専門学校体育大会全国大会
第59回全国高等専門学校体育大会全国大会の結果について、高専連合会のウェブサイトよりご覧ください。
- サッカー
- 全国大会結果
- 水泳
- 全国大会結果
- バレーボール
- 全国大会結果
- 弓道(通信制)
- 第11回全国高等専門学校弓道大会 沼津高専の結果
- コンテスト同好会
- DCON2024 企業賞受賞!
全国高等専門学校連合会・後援事業
DCON
DCON2024の結果をご覧ください。
アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2024東海北陸地区大会
教員の研究紹介
一人ひとりの感じ方に合わせる自動車
機械工学科 内野 大悟

従来の自動車ではハンドルとタイヤが物理的に接続されていますが、ステアバイワイヤシステムは物理的な接続がありません。ハンドル操作を電気信号に変換し、その信号でタイヤを制御します。この「バイワイヤシステム」はアクセルやブレーキにも使われており、ハンドルとタイヤの制御を運転者に合わせて調整できるのが特徴です。
筋肉には筋電位という電位差が生じ、これを測定することで筋肉の活動量を把握できます。私はこの筋電位を利用して運転者の負担や感じ方を研究しています。また、体格や動作解析を通じて、一人ひとりに最適な運転を提供する方法を模索しています。また、ステアバイワイヤシステムと融合させ、個々の筋電位に基づく制御で運転姿勢やハンドルの手ごたえを最適化することを目指しています。
宇宙の根源に関わる理論
電気電子工学科 高橋 祐太

物理学において宇宙といったマクロなスケールでの重力は一般相対性理論によって説明されます。一方で原子や素粒子などのミクロなスケールでの振る舞いは量子力学によって理論的に説明されます。しかし、ミクロなスケールにおいて重力を計算しようとすると結果が無限大に発散し、計算が破綻してしまいます。この問題を解消するために一般相対性理論と量子力学を統合した理論として量子重力理論が考えられました。現在も、この量子重力理論は未完成の理論ですが、その候補としてスーパー・ストリング理論が期待されています。そして、この理論を数学的に抽象化した、スーパー幾何学という研究対象が考えられます。このスーパー幾何学については、微分幾何学という幾何的な側面からの研究が多くなされてきました。私は、このスーパー幾何学についてホップ代数という概念を利用した、代数的手法による研究を行っています。
レーザーで見える森の力!カーボンクレジットの未来
電子制御工学科 鈴木 静男

2020年から運用が始まった「パリ協定」により、日本を含む120ヶ国以上が「2050年までにカーボンニュートラルを達成する」という目標を掲げています。その達成に向け「カーボンクレジット」が導入されましたが、測定の効率化や精度向上が求められています。大気中からどれだけのCO2を削減できるかは、毎年森林の現存量変化を評価して判断します。これまでは、現地で樹木の幹直径や高さを測定し、既存の式に代入して森林現存量を算出していましたが、この方法は非常に手間がかかります。そこで、航空機搭載型とBack-pack型のLiDAR(ライダー)を用いることで、森林全体の点群データが得られるようになりました。我々は、このデータから樹木の幹直径や樹高を推定し、十分な精度で森林現存量を算出できることを明らかにしました。広範囲の森林現存量評価に向け、LiDARデータを人工知能の訓練データとして活用し、空中写真や衛星画像と組み合わせて解析する方法を進めています。
光を利用して自然界の色を解明する
制御情報工学科 大久保 進也

私たちの日常生活では「光」は無くてはならないものです。光が存在することで身のまわりにある物を見分けることができます。我々の研究室では、光の特性を計測する装置を研究開発しており、工業や医療などの分野への応用を試みています。最近では自然界に存在する構造色が注目されています。構造色は色素を持たず、光の反射によって生じる発色現象のことで、見る角度によって色合いが異なります。自然界ではコガネムシやモルフォ蝶などが構造色を持ち、色鮮やかな様相を呈しています。この構造色はインクジェット技術にも応用されており、色素を用いずに構造色を発現させることで半永久的に変色や退色しないインクの開発が行われています。一方で光の特性の1つである偏光に関するメカニズムは解明されていません。本研究室では、Mueller Matrix Polarimetryという手法を用いた計測装置を研究開発し、構造色の解明を行っています。
バイオマスエネルギー転換プロセスの開発
物質工学科 伊藤 拓哉

バイオマスとは木や草、農業残渣、下水汚泥等、生物由来資源の総称で、太陽エネルギーによって再生される唯一の有機資源です。バイオマスを構成する炭素は元々空気中にあった二酸化炭素が植物へ光合成によって取り込まれたものであるため、燃焼時に排出される二酸化炭素は地球温暖化に寄与しません。しかし、バイオマスの多くは不均一な固体であるため、取り扱いが難しく、現在は直接燃焼させて得られた熱で水蒸気を発生させ、蒸気タービンで発電をする程度でしか利用されておりません。当研究室ではバイオマスを熱化学的プロセスによって、高効率で使いやすいエネルギーに変換する研究に取り組んでいます。例えば、バイオマスを無酸素条件で熱分解することで軽油代替燃料となる液体燃料を製造する直接液化法や、バイオマスを水蒸気と反応させることで高効率発電や化学原料に利用可能な一酸化炭素と水素の混合ガスを得るガス化法等について研究しています。
沼津高専で1年を過ごして
教養科 米田 慧司

主に2、3年生の数学を担当しています教養科助教(数学)の米田慧司と申します。昨年度の“沼津高専だより123号”にて自己紹介および高専での数学教育について抱負をお話ししました。今回は沼津高専に来て感じたこと、また私の現在の研究について少しだけお話し致します。
この1年間授業を通して驚いたことが授業進度の速さです。高専では専門科目でも数学を使うので早い段階での数学の習得が要求されます。そのため自ずと授業も速くなり1回1回の授業がとても大事になります。学生たちには分からない問題があればその都度質問して解決する癖をつけて欲しいと考えています。
また現在は主に関数不等式を研究テーマとして扱っています。簡単に述べると微分積分の延長線上のような研究で、n次元空間上の積分計算を大量に行い、新たな不等式を発見したり既存の不等式を改良したりしています。この分野の面白さなども学生たちに伝えていければと思います。